社会保険労務士に『年金』の本音を聞いてみる!
年金・社会保険、労務・人事・労働関連のスペシャリストである社会保険労務士。
その中でも第一線で活躍している社会保険労務士に、気になる『年金』についてわかりやすく、そして本音で教えてもらう。(記事 全文書き下ろし)
はじめに
昨今、年金問題が取り上げられ、将来の年金について不安に感じている方も多いと思います。
確かに今の制度は複雑で、分かり難いうえ、社会保険庁の不祥事もあり、年金制度全体への不安から国民年金の支払を躊躇している方も多いでしょう。
ここでは、「何が何でも国民年金保険料を支払ってください!」と言うつもりはありません。とりあえずは、皆さんの不安に感じていることの解決のお手伝いができれば…、と考えています。
「国民年金を支払わないことのデメリット」
国民年金とは
まず第一に国民年金制度を概観してみましょう。
国民年金は全国民(正確には、日本国内に移住する人)の共通の基礎年金です。
基礎年金は職業に関係なく、自営業者、会社員、公務員のみならず、フリーターや専業主婦、学生も20歳以上で日本国内に住所がある場合、原則として強制加入となり、保険料の支払義務が生じます(但し、一定条件を満たす専業主婦・主夫は保険料を支払わなくてよいとされています)。
ですから、収入の有無を問わず、国民の義務として保険料を支払わなければならないのです。とはいっても納得できなく、毎月13300円(平成17年4月より13580円)を支払うことは困難な方もいらっしゃるかと思います。
国民年金を払わないとどうなるのか。
では、国民年金保険料を支払わないと、どうなってしまうのでしょうか。
今後政府は年金保険料の未納について、財産差押えなどの強制徴収を行う方針です。また、保険料を支払っていないと将来年金を受け取る権利がなかったり、年金が支給されても減額して支給される、といった不利益を被ることが予想されます。
このようなデメリットを理解した上で、年金保険料を支払うかどうかを検討してみても良いのではないでしょうか。
厚生年金、共済年金は・・・
企業にお勤めの方や公務員の方は、賞与や毎月の給料から徴収されている厚生年金保険や共済組合に加入することにより、別途国民年金保険料を支払う必要はありません。
また、専業主婦・主夫の方についても、一定の条件に該当し、手続きを行うことによって国民年金保険料を納付する必要はありません。
国民年金の被保険者
ここでは、自営業者の方、フリーターやアルバイトで就職されている方、無職の方や求職者の方を中心に取り上げていきます。
これらの方々は国民年金法において、「第一号被保険者」と定義されており、日本国内に住所があり、20歳以上60歳未満の方が対象となります。
この第一号被保険者に該当すると、国民年金保険料の納税義務が生じます。
学生であっても20歳になると、国民年金保険料の納付義務がありますので、収入のない学生の方は、親などに支払ってもらうことになります。
では、この国民年金保険料を支払わないとどうなるのでしょうか。
先程も少し述べましたが、将来受給できるはずの年金がもらえなかったり、受給できたとしても年金額が減額されてしまう可能性があります。
老齢基礎年金を例に検討してみましょう。
老齢基礎年金とは、原則として65歳から支給される年金で、老齢厚生年金とあわせて多くの方々の老後生活費のベースとなるものです。
老齢基礎年金は、国民年金の保険料納付済期間 ※1 と免除期間 ※2 及び合算対象期間 ※3 を合わせて原則25年以上なければ支給されません。
20歳から60歳までの40年間のうち25年間ですのでさほど厳しい要件ではないのですが、国民年金未納者が増加しているため、今後は25年間を満たさず、65歳になっても年金を受給できない方が生じる危惧があります。
※1 保険料納付済期間 とは、第一号被保険者として、実際に保険料(13,300円)を支払った月のことを指します。厚生年金保険料や共済組合に加入している方については、厚生年金保険料を支払った月につき、国民年金においても保険料納付済期間となります。また専業主婦・主夫の方も所定の手続きをすることにより、保険料を支払わなくても納付済期間としてカウントされることになります。
※2 保険料免除期間 とは、保険料を支払うことが困難な状況にある方などが、所定の手続きにより一定期間、保険料の支払いを猶予してくれる制度です。25年の期間にはカウントされますが、保険料を支払っていないため、将来受給する年金は減額されることになります。
※3 合算対象期間 とは年金制度設計上認められるもので、25年の期間には参入されますが、年金額の計算の対象にはなりません。こうしたことから、一般に「カラ期間」といわれたりしています。
これら期間を合わせて25年以上なければ、65歳から支給される老齢基礎年金が受給できなくなってしまいます。
例えば、20歳から40歳まで20年間未納の方は、40歳以降60歳まで、20年間全て保険料を支払ったとしても、そのままでは65歳以後年金給付を受けることはできません。このように未納期間が多くあると、将来、年金受給ができなくなってしまう可能性があるわけです。
こうした不利益を十分理解する必要があると思います。
「わからないし、不安だから国民年金保険料を支払わない!」と考えるのではなく、まずは年金制度を理解するチャレンジをされてみてはいかがでしょうか。
これまで複雑、難解であることから年金制度全体に不信感、不安感が高まっていることと思います。しかし、年金制度を理解せず、感情論で年金保険料を支払わないことは、得策とはいえません。自分が将来に受け取る年金ですから、年金制度の基礎を理解することは、今後の生活においても有益なことです。
今回は国民年金保険料を支払わないことによるデメリットを中心にまとめましたが、今後も様々なテーマから年金制度について取り上げたいと考えております。
今後ともお付き合いのほど、よろしくお願い致します。
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