自己破産経験者との対談
自己破産経験者と対談気になる 自己破産 について、経験者とお話できる機会を持たせていただきました。 きっと、彼から学ぶことって多いと思います。本当に頑張っている人で、彼に出会えたことがうれしく思っています。
悲観的にならずに、前向きな気持ちは私も圧倒されました。 私の意向をご理解して頂き、協力を快く了解していただいたF様、心より感謝します。
F氏 紹介(本文中は便宜上 Fとさせて頂きます)
男性 自営業(建設関係) 40代 お子さん4人の6人家族
以前当事務所の相談者(手続 司法書士)。 平成14年倒産
免責 平成14年春。
<対談>
私 : お久しぶりです。今回はご了承頂きありがとうございました。
F : 私の体験が、今悩んでいる人に対して少しでも参考になればと思って。参考になりますかね。 せっかくですから、本音でしゃべります
私: ありがとうございます。では早速質問させて頂きます。自己破産してから、1年半位日が経ちますが、当時を振り返って今はどう思いますか?
F : 当時は一軒家で世間体や、従業員からの面目などもとても神経質になっていました。悪いことをしたかのように。今は開き直っているつもりはないのですが、いろいろなものからマインドコントロールされていたのかもしれません。要するに、借金を踏み倒す的な罪悪感もいっぱいでした。正直言いうと、今は自己破産をしたことを『いい思い出』 と前向きに思っています。
私 : 『いい思い出』・・・もう少し詳しく聞かせて頂けますか?
F : 確かに自己破産はしなくてもいいものであれば、しないにこしたことはありません。しかし、私は自己破産したあと、 これをきっかけに後向きに生きていけば 、今後も同じようなことになり、完全に負けになる!ってことだけは、肝に銘じて生きてきました。簡単に言うと、背水の陣です。基本的に私は怠け者なので、一時的に強いショックがないとリセットできない自分に甘い人間なのです。
私 : Fさん、人間誰しも少なからず、自分には甘いじゃないですか。良くそこまで変えれましたね。
F : これは体験したものしかわからないかもしれませんが、 今まで毎日毎日、金策に頭を使うばかり でした。今思うと凄いエネルギーだったと思います。その一番の重圧から逃れられたのです。その分、これからの自分の仕事のために矛先を変えることにしました。何が足りなかったのか?お客さんは何を望んでいるのか?ひとつひとつ考えました。それが、良かったのかもしれません。また、何かしていないとうつ病になりそうなくらい、時間だけはありましたし・・・あはは
私 : 借金がなくなったというのは、そういったパワーに変える良い起点にもなるのですね。自己破産したことについて、周りの方はどういう感じですか?例えばご家族などは
F : 家族の反応は当時かなり心配していた妻ですが、今では一番のよき理解者です。破産前は別居で、いわゆる実質、離婚状態でした。ですが、妻の協力は必要不可欠でしたし、再起を目指すからといって、頼み込みました。両親にもいいましたが、「信じているからがんばって」と言ってくれました。子供はまだ小さいので何もわかっていません。一番辛かったのは、前の会社の従業員と取引先でした。当時、止むを得ず「解雇」という形になりましたが、「再起するから、待っていてくれ」 って、自信を持っていえない言葉を残し、別れを告げました。解雇してから約8ヶ月、恐る恐るある元従業員に連絡を取って見ました。「待ってました・・・、どうにかしたくても、どうにもできない現実、あのときの心境忘れてないですよ。今度行き詰まるようなことになったら、許しませんよ。」って言われ、涙がぼろぼろ止まりませんでした。その直後、活力がますます沸いてきました。本当に良い仲間です。
私 : そんな経緯があるなんて・・・。でも、もう一度事業をするとなると、現実問題としていろいろな障害があったのではないですか? 例えば、事業資金などの調達など。
F : 私の場合、倒産したときと同じ建設関係をしていますので、当時迷惑をかけた債権者との関係がありました。そこに、聞くだけでも・・・と、頭お下げ、綿密なプランを話し、結果こういくので・・・などと誠意と熱意を伝えました。
私 : 普通なら逃げ腰になってしまうところに、逆に積極的に自分の状況を打ち明けたって言う ことですね。
F : そんなかっこいいものではありません(笑)。謝り倒した?っていう感じです。また、それしか取るべき方法はなかったですし、本気でこれから迷惑かけた分、なにかで返そうと思いました。だから、お金を借りられないとか、今までの反省点や改正点などを、じっくり説明させて頂きました。ある取引先に「疫病神!」といわれたときはさすがに効きましたが・・・。
私 : 日本はアメリカのように、「破産して這い上がってくるような人のほうが、ガッツがあっていい」 っていうものは浸透していなく、悪いイメージばかり目に付いてしまいます。敗者復活戦!やってやる!!って前へ前へ出て、盛り上がったら、景気も上がるんじゃないかなって思います。でいまは、大成功といったところでしょうか?
F : いえいえ、小成功ぐらいですよ。でも、貯金をできる程度になりました。
私 : それはそれは、良かった。
F : でも、さっきも話した当時迷惑をかけた、取引先の債権者の方々にお支払いしています。法的には払う必要はないのですが、仕事も通して自分が納得するまでお返ししようと思っています。
私 : ・・・・・(何か言えばよかったのですが、あまりにできた、情のある方のため唖然としてしまいました)そんなガッツのあるFさんが、なぜ自己破産に至ったのかが皆さん気になっていると思うので、少しお願いします。
F : 横山さんに相談に乗ってもらっているので知っていると思いますが、今思えば当時の私の考えは 甘かった 。「今思えば」 というところをわかってください。先程も少し触れましたが、私は自己破産してよかったとさえ思っています。なぜかというと、「今までの自分は本気になっていなかった」ということに気付かせてもらったからです。ショック療法です。もちろんそれだけでは、いけないと思います。あの時は本当にお世話になりましたが、再起をするために本当に細かく計画をシビアに指摘され、本当に疲れました。だからこそ、早く立ち直らせて社会のためにお返ししようと 思いました。
私 : ここまで本心を聞くと、再建して当然のようにさえ聞こえてきました。
F : 辛いのは、本心がいえないこと・・・
私 : は?
F : いまだに、私は莫大な借金を抱えていると思っている方がいて、敬遠されています。そんな人に 「自己破産してもう借金はないんですよ!」っていったら、不機嫌そうな顔になるんです。 理解できないのでしょうか?
私 : わかりたくないんですよ。「私はなんとか無理してでも払っているのに」って。
F : 「返済し続けています」といえば、いいのでしょうが嘘は嫌だし・・・。
私 : 対人間の心理って言うのは難しいですね。Fさんは、再建のチャンスをもらうため、自己破産というものを通じて今までの自分を見直した。その苦労も知らずに、借金がチャラになったことが面白くないのでしょうね。それから、皆さんに言っておきたいのですが債務整理というものはどれも再建する要素を持った制度だと思います。Fさんは自営業ですが、サラリーマン等の方も今のまま踏ん張っても厳しい時は、自己破産に限らず特定調停、任意整理、個人再生手続などで整理したほうが、再スタートしやすい場合があると思います。当初は決して贅沢はできないかもしれませんが、いままでの支払いがなくなる、もしくは負担が軽くなるのですから、給料が少なくったって、お金をかけない楽しみ方も工夫して、乗り越えれると思います。
F : 私もそう思います。やった本人が言うのだから、考えてください。
私 : 説得力ありますよ。時間もなくなってきたので最後にみなさんへメッセージありましたら。
F : ん〜。うまく伝わったかがとても心配ですが、わかってほしいことは債務を整理するっていう事になると、漠然とした不安が襲ってきます。そこで、難しいかもしれませんが冷静になり、今はなにをすればいいのかを考えてほしいです。知識を付けることも大切だし、専門家の意見をもらうことも大切だし。横山さんも、これはいいたい点だと思いますが、なるべく早くなにか行動してほしい って私自身強く思います。だって、私は 粘りすぎちゃったから 、「自己破産」ということになりましたが、もう少し早く客観的にみて意見もらっていれば任意整理とか、個人再生手続きなんかも利用できたかもしれません。 「自己破産をしたほうが・・・」って横山さんと司法書士さんが、本当に残念そうに私に告げた表情は今でも脳裏に焼きつき忘れられません。だから早めの対処は本当に本当に大切!ひとりで 「まだなんとかなる」 と思っている方も多いのではないでしょうか。軽症なら軽症で止めることも可能だと思うし。そしてたとえ受け入れたくない方向だったとしても、 再建は可能 です。それだけわかってください。
私 : そう、再建は可能です。よく人生に「リセットはない」なんて言いますが、気持ちを切り替えられずに自分で引きずっていればそれまでで、「やり直す」ことは十分に可能だと思います。Fさんは特別凄い精神力の持ち主ですが、Fさん以外にも頑張っている人を何人も見ています。そして、自己破産に関する正しい知識がないから、その人を理解できない。私は、再び立ち上がってきた人のほうが強いって思います。「頑張って」ばかりを繰り返しているなにもできない自分が嫌ですが、頑張ってほしいです。今日は本当にありがとうございました。
F : いいえ。これで少しでも勇気がついてもらえれば幸いです。人生なげるな!
(しつこいね)
※2003年8月 対談約1時間 当事務所にて
テープに録音して文章化しましたが、実際のわかりにくい部分に関しては、ニュアンス変えないように補正しました。
これにかける時間があまり取れなかったので、はしょってある部分もあります。もっと詳しく対談を読みたい方は熱いメッセージお待ちしております(いないかな)。


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